進路なう

【進学の熊西】終業式 進路指導主事講話【人生は微分・積分】

熊谷西高校では、始業式・終業式・朝礼・学年集会・統一進路等で、高いレベルでの進路指導主事講話を行い、適時に適切な進路に対する意識喚起を行っています。

 

言葉の力は大きな影響力を与えます。生きた講話です。毎回の講話が、西高生に勇気を、そして、西高生の生涯に影響を与え、生徒自らが世界の幸福のために蓄えた力を還元することを期待しています。

  

令和6年度12月終業式では、平井進路指導主事から全校生徒へ、「実力とは」「努力とは」「人生は微分・積分」というテーマで話がありました。

 

1年生は「勝負の2年生」へ、2年生は「受験は団体戦」へ、それぞれ「2年0学期」、「3年0学期」を迎えます。「英姿颯爽」の校風の中で、高い志を持ち、自己実現のために日々ベストを尽くしましょう。

 

【12月  進路指導主事講話】

 

おはようございます。

 

3学年が揃っての講話もあと1回となりました。

過去3回と、「志」、「勉強の偉大さ」、「学問を耕す」ことについてお話をしました。

 

今日は、そこから至る「実力」という言葉について、そして「努力」という言葉について、さらにそれらを身に付けて広き世界を生きていく「人生は微分・積分」について考察したいと思います。

 

その前に、私は、まず、ここまで「やり切る」「やり抜く」「やり通す」の3つの使い方について考えてきました。どんなことでも「最後までやる」というのはそれなりに労力の要ること、どの言い方も大変さが感じられるものですが、その中でも特に「~抜く」を使うと「大変だけれど頑張って最後まで~する」という意味が伝わります。今年もあとわずか。皆さんは2024年に頑張って「やり抜いた」ことはありますか?

 

やり抜いた暁には「実力」を備えたいと思うし、そうでありたいと期待するでしょう。

 

「実力」には5つの定義があると言います。

 

ある国立大学4回生の学生の言葉です。

しっかり言語化されています。

 

「実力とは、生活の全てが基盤となる力」

「実力とは実行力、行動力の積み重ね」

「実力とは、周囲がもたらすマイナスをプラスの結果に変容させる力」

「実力とは、直面した状況で結果を最善に近づけられる力」

「実力とは、ビジョンを提示し、それを実現しようと推し進める力」

 

実力というあやふやなものの「本質」を極めて端的に教えてくれています。

 

実力者とは、時を守り、場を清め、礼を正す、生活習慣を基盤として、自分の状態や周囲の人間や環境などを言い訳にせず、不運や理不尽を嘆いたり、文句を言ったり、責任転嫁することなく、ビジョンを描き、理想に燃え、自分に矢印を向けている人だと教えてくれます。そして、行動の先に自分で責任を取る覚悟も出来ている人です。

ありきたりな表現を借りれば、実力者は他人や環境などの「定数」ではなく自分という「変数」だけを調整し、自分を変えていくのです。そして、時に助けを求めて、仲間に助けてもらう。サッカーで例えるなら、味方がハマっている状況で放置するのではなく、どうにかボールを受けに行ってピンチを脱しようとしたり、パスが出なかったり、とんでもないパスが来てトラップをミスしても、パスが悪いとパサーに誰でも言える文句を言うのではなく、そのパスにどうにかして対処して「マイボール」にしたりしながら、全体像を描いていくことでしょう。実力ある者は主張すれど、他人のプレーやミスを批判したり文句を言ったりしないといわれるのはこういう姿勢が備わっているからなのです。

 

さて、そうした「実力」を発揮するには「努力」という下積みが必要です。

 

「まず己を知る。そして適正なレベルに挑戦する。その際、目の前の一段を登るために、自分が登れる小さなステップに分解し、克服する。」

これを「努力」と呼びます。

その結果として、もともとできなかったことが訓練次第でできるようになります。自分にできる高さまで刻んで、できるようになったという無数の事実が「自信」に変わり、「勇気」に繋がります。

「困難は分割せよ」。

まさにデカルトです。

成長を実感しているときは間違いなくこのステップを踏んでいます。課題を可視化し、自分に合わせたスモールステップに切り分け、自分の集中すべきことを明らかにしていきます。そして上を見るでも下を見るでもなく、初めて漕げるようになった自転車のように、目の前だけを見て、ひたすらそのステップを登ることだけに集中するのです。小さい頃に、誰もが習得していることです。

何事も分かるようになる、出来るようになる、上手くなるというのが本来の目的です。合格するためや試合に出るためとは目的が違います。目的を履き違えないようにすることも大切です。

 

努力を積み重ねれば、ある時、加速度的に、指数関数的に実力は伸びていきます。

あと少し、もう一段ステップを登ろう。

そうすれば、もう一段高い西高生になることができます。

 

そうした実力を高める過程の瞬間、瞬間の変化率が「微分」であり、その集大成が「積分」なのです。微分が描くどんな曲線でも、積分の面積がゼロの人はいません。

群れず、連まず、怯まず、静かに精神を鍛えて、人生の積分値を高め、逞しく、幸福で、豊かな人生を作り出せればいい気分になれる。

「人生は微分・積分・いい気分」

すべては生活から。

朝は7時に頭が冴えて、夜は11時には明日の準備をする。「セブン・イレブン・いい気分」です。

 

ただ、どんなに実力を持ってしても、

生きるということは基本、苦しいことです。大変なことです。

しかも、人生はリハーサルのないオーディション。

一回限り。

一期一会。

宇宙探査機、ボイジャー1号、2号が、約244億1551万km離れた、永遠の彼方へあるように、二度と再会することのない日々。

一日一日を大切にしましょう。

 

しかし、皆さんは、足踏みだけの高校生活は送ってはいけません。

自分に実力をつけて、負荷をかけて、負荷慣れをしていく。その繰り返しです。

苦しくても、もがいて、もがいて、悩んで、悩んで、前へ、前へ進んでいくのです。

 

世界の熊西、宇宙の熊西です。

皆さんが、どう生きたいか、どうしたいのかを第一に考え、地域のみならず、日本や世界、宇宙を支え、最終的には「人類の幸福のため」となる、さらには自らが「生きる、生き抜く」ものとなるように自分を高める。しっかり稼ぎ、世の中に還元する。そのために「学問のベビーフード」をバランス良く食べ、実力を身に付けて前に進み続けてください。

そして、「タフで、優しく、賢く」あってください。

 

3年生は正念場です。GRITです。冬休みは猛勉強して、最後の追い込みを図ってください。もがいて、もがいて、もがき抜いてください。間に合わないかもではない、間に合わせるんです。何とかならないかもではない、何とかするんです。

皆さんなら突破できる。

3年向けの進路主事便りも気合いを入れて沢山出しました。しっかり読んでください。実力と相俟って皆さんは受かります。

昨年の先輩を超えて、熊西の実力を更新してください。

2年生は3年0学期、1年生は2年0学期です。よい走り出しのために準備をしましょう。1,2学期の弱点克服をしましょう。

生涯勉強、生涯青春です。

 

そして、西高生全員が「全力を尽くしたか」を全ての判断基準とできるように行動しましょう。

 

私も「努力」と「実力」の意味をしっかり理解し、愚直に進んでいける、そんな環境を作りたい。

1、2年生向け発行の進路主事便り「WEST」にも多くの大切な事が書いてあります。

よく読んでください。

そして皆さんの気持ちを胸トラップして(受け止めて)頑張りたいと思います。

 

良いお年を。

最後に合い言葉です。

 

「今を精一杯過ごす」

「ベターではいけない。ベストを尽くす。」

多くのチャンスに、果敢にチャレンジし、マジカルチェンジで自己変革を起こす。

「チャンス チャレンジ マジカルチェンジ」

「フィジカル パッション 演習量」   

 

頑張ってください。

期待しています。

 

進路指導主事 平井 利久