【探究の熊西】日本理化学協会賞を受賞!
理数科の教育活動に対して、日本理化学協会から日本理化学協会賞を受賞しました。日本理化学協会は全国高等学校における理科教育の充実発展を目指す団体です。
昨年度に行われた本校の課題研究「戦国・江戸時代に学ぶ古土法による硝石作り」に対して協会賞をいただきました。詳細を下記のpdfからご覧いただけます。
江戸時代における床下の土と木灰による硝石作りを古土法といいます。この古土法を化学的に捉え、実験の中で抽出・濃縮・析出という体験を通して技術を高め、歴史的意義を考え議論し、地域文化への理解を深めました。
床下土を集めます。
抽出液を濃縮します。
土中の硝酸イオン濃度を測定します。
硝石を析出させましょう。
江戸時代になぜ古土法が普及したのか。
歴史的意義について議論しました。
日本理化学協会からの講評を下記に掲載させていただきます。
【選定理由】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本研究は、歴史の内容を含んだ教科横断的な探究活動の取組みである。また、地域各地の土壌を収集して硝石作りを再現した、地域探究活動であるといえる。各地域の試料採取場所や、地表からの深さについて、定量的な評価も行っている。
全6回の取組計画の中で、試料の採取、濃縮・抽出、結晶の析出、定性・定量実験、グループディスカッションを進行させながら、途中で専門家(大学教授)による硝石作りの歴史的意義についての講義を受けて「古土法」における歴史的な背景を学んでいる。この過程で、抽出・濃縮・結晶析出等で実験の基本的操作を体験できる。また、生徒が生活する環境における床下土の深さによる硝酸イオン濃度の比較や、火薬の主原料である硝石1kgを得るのに必要な床下土・木灰を見積もることは、量的関係を理解するのに重要な要素といえる。
地域で忘れ去られていた硝石作りの歴史を探究することで、科学技術としての歴史的意味を考察でき、祭りに注目することにより、地域の文化的行事の理解が深化する。歴史的な見地からは、家内工場で床下土を採取して、硝石を生産するという、江戸時代の産業の一端を垣間見ることができる。またこのころ、各藩で生産活動が盛んになっており、藩のプロジェクトとして硝石づくりが行われていたことは、藩政改革とも一致するという他教科に繋ぐ内容である。
以上のことにより、現在の教育活動に求められる教科横断型学習、地域探究活動に加え、高大連携等の視点が盛り込まれた本研究は、日本理化学協会賞にふさわしい研究といえる。
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本校の理数教育に対して、評価をいただけたことは大変有り難いことです。今後とも「探究の熊西」を掲げ、研究活動を通して理数教育の充実と生徒の成長に寄与していきたいと考えております。