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【探究の熊西】企業連携:電子顕微鏡観察(日立ハイテク)

今年度も株式会社日立ハイテク様から電子顕微鏡をお借りしました。

 地域における科学教育の振興を目的とした理科教育支援活動として、株式会社日立ハイテク様より日立卓上顕微鏡TM4000PlusⅡをお借りしています。大変ありがとうございます。

 

 電子顕微鏡とはどんなものでしょうか?

 世の中で最も小さい電子を対象にぶつけて、その形状を見ていきます。そのため、光学顕微鏡よりも小さいもの、ミクロの世界をのぞくことが出来ます。ただし、電子をぶつけるため真空が必要であり、観察する対象は金属など導電性があるほうが有利です。

 しかし、日立卓上顕微鏡TM4000PlusⅡは真空度を制御して、導電性のない対象も観察できます。さらに、電子を対象にぶつけてその跳ね返りを見ているので、観察対象の材質の違いを見ることも出来ます。

 

授業SS化学・自然科学部の中で、生徒と電子顕微鏡観察について話し合ったところ、下記の案が出ました。

①銅粉末と銅樹を比較してみよう。

②半紙の表はサラサラ、裏はザラザラその違いは何?

③冬の必需品、高機能な防寒インナー

④トイレットペーパーとティッシュペーパー

生徒の観察結果を見ていきましょう。

 

実験1:銅粉末と銅樹を比較

銅粉末は見た目サラサラです。

しかし、拡大してみると小さな薄片の集まりであることがわかりました。

銅樹は植物の枝のように生えています。

 

拡大してみると、銅の結晶がかくばって成長している様子がわかります。

 

 実験2:半紙の表はサラサラ、裏はザラザラその違いは何?

半紙の表と裏を観察しました。

・半紙の表

・半紙の裏

表面の繊維は最大値が30㎛、最小値が6㎛以上となっています。裏面の繊維は最大値は同じく30㎛ほどですが、最小値が2㎛以下となっています。基本的に繊維の太さは同じですが、裏面は細い繊維が混合しています。これは半紙をすくうときに表面が下になり、重い繊維から重なっていくため、上(裏面)は細い繊維が混合してくると考えられます。

 

実験3:冬の必需品、高機能な防寒インナー

 寒い冬の必需品、高機能な防寒インナーを綿と比較してみました。

・高機能な防寒インナー

 

・綿の服

 

 綿は繊維が乱れており、ほどけています。これと比較して、高機能インナーは繊維が整っており、きれいに織り込まれています。これにより暖かい空気を逃がさず閉じ込めて保温していると考えられます。また観察からはわからないですが、繊維自体が水を吸着して発熱しているため暖かいのです。

 

実験4:ティッシュペーパーとトイレットペーパー

水にとけないティッシュペーパーと水にとけるトイレットペーパーの形状に違いはあるのか?

・ティッシュペーパー(180倍と800倍)

 ・トイレットペーパー(180倍と800倍)

 

 ティッシュペーパーは密度が高く、トイレットペーパーはスカスカでした。

繊維は同じようですが、その密度の違いが水へのなじみやすさの違いにつながるのでしょう。

 あと、観察結果からはわかりませんが、接着剤の影響もあるのでしょう。

 

今回は電子顕微鏡を用いて観察を行いました。肉眼ではよくわからなくても、電子顕微鏡が本来の姿を正確に教えてくます。やはり正確な観察が大切だと改めて気付かせてもらいました。