【探究の熊西】企業連携:電子顕微鏡(日立ハイテク)
今年度も株式会社日立ハイテク様から電子顕微鏡をお借りしました。
地域における科学教育の振興を目的とした理科教育支援活動として、株式会社日立ハイテク様より日立卓上顕微鏡TM4000PlusⅡをお借りしています。大変ありがとうございます。
電子顕微鏡とはどんなものでしょうか?
世の中で最も小さい電子を対象にぶつけて、その形状を見ていきます。そのため、光学顕微鏡よりも小さいもの、ミクロの世界をのぞくことが出来ます。ただし、電子をぶつけるため真空が必要であり、観察する対象は金属など導電性があるほうが有利です。
しかし、日立卓上顕微鏡TM4000PlusⅡは真空度を制御して、導電性のない対象も観察できます。さらに、電子を対象にぶつけてその跳ね返りを見ているので、観察対象の材質の違いを見ることも出来ます。
理数科や自然科学部の生徒たちが電子顕微鏡観察を行いました。
【目的】
電子顕微鏡を用い、価格の異なるコピー用紙で繊維や構造を観察、比較することを目的としました。
【仮説】
コピー用紙の値段により、実際に見たときも、表面の粗さや用紙の厚さなどに違いがある。そのため電子顕微鏡で観察するとき、価格の低いコピー用紙では、繊維の密度が低く、太さや長さがばらけているような画像が見られると考えた。反対に、価格の高いコピー用紙では、紙の繊維の密度が高く、繊維が均一な画像が見られると予想した。
【結果】
観察モードは5kV|Mode 3、真空モードは帯電軽減(L)に設定した。高いコピー用紙と安いコピー用紙でそれぞれ検出器を反射電子と二次電子、倍率を500倍と1000倍にして観察した。
【考察】
画像からコピー用紙の価格が高い方が、表面が滑らかで、紙の繊維の密度が大きいことが確認できた。表面の繊維の方向がそろっていて、二次電子の1000倍の画像で比較したときには、価格の安い用紙よりも、繊維の太さや長さが均一に見える。また、価格の低いコピー用紙は、紙の繊維の密度は低く、500倍の二次電子の画像からは特に細くさけていることが確認できた。繊維はコピー用紙の高い方が太く、これには用紙の厚さも関係しているのではないかと考えた。これらから、コピー用紙の価格と紙の品質の相関関係は強いと判断できる。
〈追加でこんなものも電子顕微鏡でみてみました!〉
牛乳パックの表面は水分がしみ込みづらいようコーティングされている様子やカーボン紙の表面に炭素が付着している様子がわかります。切手についても特に裏面に糊がコーティングされているのがわかります。目視やさわり心地では大差がないように感じますが、電子顕微鏡でミクロの世界を観察するとその小さな差がはっきりと違いとして見ることができますね。