【探究】理数科2年・臨海実習に行ってきました【SSH】
7月22日(火)から24日(木)にかけて、理数科2年8組の生徒40名で、千葉県銚子市・勝浦市方面へ臨海実習に行ってきました!
★実習の様子をまとめた動画
Day1
実習初日は、思いがけないハプニングからのスタート。
朝の出発直後に高速道路上で事故渋滞に巻き込まれてしまい、予定していた筑波にある施設には残念ながら立ち寄れず、行程を変更してそのまま銚子へと向かいました。
銚子では、銚子海洋研究所さんのご協力のもと、イルカウォッチング体験。
ただ、前日から「沖の風が強い」との情報があり、当日出航できるかどうかは現地判断に。到着してみると、やや風は残っていたものの、無事に出港できることとなり、生徒たちは期待に胸をふくらませて船に乗り込みました。
残念ながら、風の影響でイルカの餌となる魚群が沖合へ移動してしまっており、スナメリの姿を見ることはできませんでしたが、普段なかなか乗ることのない小型船での体験は、生徒にとって貴重な経験となりました。
一方で、蒸し暑さと揺れの大きい船に酔ってしまった生徒もおり、「酔い止め飲んでおけばよかった…」と少し反省の声も。それもまた、実習でしか得られない体験からの学びの一つだったようです。
夜には、宿泊先のホテル屋上で天体観測会を実施しました。
雲の少ない好条件に恵まれ、北斗七星や夏の大三角形、さそり座、いて座など、多くの星座を肉眼で確認することができました。さらに、学校から持参した大型の天体望遠鏡を使って、アルビレオやM22(いて座にある球状星団)も観察。
日夜問わず、壮大なスケールの自然の授業を体いっぱいに感じる一日となりました。
Day2
臨海実習2日目は、銚子ジオパーク巡検からスタートしました。
まず訪れたのは、海岸沿いに広がる国有林。ここでは、塩害や風に耐える浜辺特有の植物、そしてその周辺に広がる極相林の様子を観察しました。
人の手が加えられていない自然の中で、植物の生態や遷移の過程を肌で感じることができ、普段の教科書では得られないリアルな学びがあったと思います。
その後は、犬吠埼灯台周辺に移動し、生痕化石の観察。
かつて生き物が残した“動きの痕跡”が、長い時間を経て岩の中に刻まれている様子を、ガイドの方の解説を聞きながらじっくり観察しました。
続いて訪れた屏風ヶ浦では、海沿いにずっと続く地層が圧巻。
地球の長い歴史と、そこに刻まれた時間の痕跡に、理科や地学が好きな生徒たちは特に興味をそそられていました。
午後は、JAXA勝浦宇宙通信所を訪問。
人工衛星の通信や、宇宙ステーションとのつながりについて解説を受けました。
中でも、直径25mもの巨大なパラボラアンテナを間近で見た時の生徒たちの驚きはひとしおで、宇宙という遥か遠い存在が、すこしだけ身近に感じられたようでした。
本来は、千葉県茂原市にあるガス関連施設の見学を予定していました。
茂原は都市ガスに関連する技術拠点が多く、昨年度は実際にその見学が行われましたが、今年度は施設の都合により訪問が叶いませんでした。
その代わりに訪れたJAXAでの見学は、テーマこそ異なるものの、生徒たちの好奇心を大いに刺激してくれました。予定外の学びもまた、実習の魅力の一つだと感じさせてくれる時間でした。
展示だけではなくシュミレーションもあり、生徒だけではなく担任の先生も楽しんでいました。
小型探査機の「着地」だけでもかなりの技術が必要であり、宇宙探査の難しさが伺えます。
夜には、前日と同様に天体観測を実施。
前夜に銚子で見た星座が、勝浦の海辺ではまた違った角度から観察できることに、生徒たちは感動していました。
「首が痛くなるくらい見上げてた」という声が出るほど、星空の美しさと奥深さに心を奪われたひとときでした。
地球の足もとにある化石や植物から、はるか上空の宇宙まで。まさに「自然と科学のスケールの広がり」を体験した、理数科らしい一日となりました。
Day3
臨海実習3日目は、宿泊先を出発後、すぐ近くの勝浦にある海の博物館へ向かいました。
博物館の前には自然の磯が広がっており、ここで理数科恒例の磯採集実習を行いました。
生徒たちは「生物班」と「地学班」に分かれて、それぞれの視点から海の自然に向き合いました。
生物班は、岩場や潮だまりに分け入って、海藻や貝、カニ、魚などを採集。
集めた生物はグループごとに分類し、特徴をもとに種の同定を行いました。
「さっきのとは違う!」「魚、網で捕まえられた!」といった声が飛び交いながら、生徒たちは夢中で観察に取り組んでいました。
一方の地学班は、磯周辺に広がる露出した地層をじっくり観察。
積み重なる層の厚さや色、傾きなどから、そこに刻まれた時間の流れや地形の変化を考察しました。
昨日見た屏風ヶ浦のダイナミックな地層とはまた違った、ローカルな地質の個性に触れることで、観察眼もより深まったようです。
午前中いっぱいをかけた磯での実習を終えた後は、名残を惜しみながらバスで熊谷へと出発。
途中の海ほたるパーキングエリアに立ち寄り、お土産を購入したり、東京湾の景色を楽しんだりと、最後の自由時間を満喫しました。
ということで、3日間にわたる臨海実習は、天候にも恵まれ、大きな事故もなく無事に終了しました。
海・地層・宇宙・星・生き物と、五感を通して「理科の世界」に触れた今回の研修は、生徒たちにとってきっと忘れられない経験になったことと思います。
Studying Nature Firsthand ー 百聞は一見にしかず。
この体験が、生徒たち一人ひとりの今後の課題研究や進路選択のきっかけとなることを願っています。