2021年12月の記事一覧
【図書館】図書委員のおススメ本
今月は、一年生が推薦する本(4冊)をご紹介致します。
☆『本日のメニューは。』 行成薫 /(集英社文庫)
この本は、食事を提供する5つの店舗のお話で1話から5話を読み進めていかないと分からない連作短編集になっています。
入院中の父に中華そばを出前したい二人の子どもと、変わり者の大人たちが起こした奇跡「四分間出前大作戦」。メシマズ母に悩まされる女子高生と、おむすび屋の女性店主の愛情「おむすび狂詩曲」など料理をテーマにした物語で、どのお話も美味しそうで切なく、お店側の食べた人を幸せにしたいという思いが詰まっていて食を通じて人の暖かさを感じることのできる作品となっています。
★ 『ツナグ』 辻村深月/(新潮文庫)
生者と死者を繋ぐ窓口となる使者(ツナグ)に死者と会うことを依頼した4人の生者と使者自身の物語が描かれた連続長編小説となっています。
1つの物語が進むにつれ使者のことが明らかになっていくこと、当たり前だけれどそれぞれの依頼人の価値観や感じ方によって会った使者の印象が異なって表現されていること、最後に使者自身の物語があるため4人の依頼人と死者が使者視点からも書かれていることに魅力を感じました。
現実であるはずがないのに自分の中で現実感が消えすぎず読み進められたのは、登場人物の一人ひとりがそれぞれの世界で日常生活を送っており劣等感や不満、嫉妬、喪失感を抱えながら死者と向き合っているからだと思います。長編ですが連作なので読みやすいです。心苦しくなる話やシーンもありますが最後まで読めばきっと心が温かくなりますので是非読んでみてください。
☆『家族ゲーム』 本間洋平/(集英社)
この本は、出来のいい僕と違って、ダメな弟は高校進学をひかえ、6人目の家庭教師・吉本の出現でついに変化し、両親の期待は弟にうつり、僕はだんだん勉強をサボり気味に・・・・・・。というあらすじになっていて受験に振り回される一家を描いた物語です。
ダメな弟と超体育会系の家庭教師・吉本のバトルがとてもおもしろくまた、いじめられている弟に自分が責任を取るからいじめの主犯をボコボコにしてやれというところが吉本の勇ましさを感じ教育の原点だと思える作品となっています。
★『ふたご』 藤崎彩織/(文藝春秋)
1人の少女、西山夏子は中学2年生のときに1学年上の月島悠介と出会い仲良くなり、友達のように恋人のようにふたごのように一緒に過ごしていきます。この「ふたご」という作品は、月島に振り回され距離感に迷いながらも月島から離れられずに人生を歩んでいく夏子が夏子の視点で描かれます。
苦しいシーンが大半を占めますが、その心情が非常に生々しく共感させられ320ページを約2日間で読破してしまうほど惹き込まれました。私が衝撃を受けたのは、自分だったら目を逸らしたくなってしまうような、大切な人が苦しみ叫ぶところを目にするシーンで夏子は「美しい」「まるでギリシャ神話の一シーン」という言葉を使ったことです。夏子も月島も独特の価値観を持っており、独特の表現がされていることが魅力の1つだと思いました。
2部あるうちの第1部はほとんど夏子と月島しか出てこず、夏子がそれだけ月島との世界で生きていることがわかりますが何よりすごく読みやすいので、この執着的な2人がどのように人生を共にしていくのか是非読んでみてほしいです。